もう決断力しかない

もう決断力しかない―意思決定の質を高める37の思考法

もう決断力しかない―意思決定の質を高める37の思考法



■目的地が分かっていなければ、どんな道を選んでもどこにも到達できない。

【H.キッシンジャー

P.148

マネー力

マネー力 (PHPビジネス新書)

マネー力 (PHPビジネス新書)



  GEやIBMといったアメリカを代表する企業も、現在のアメリカにはすでに見切りをつけたのか、完全に海外シフトを敷いており、国内で四%、海外で二十%売上を伸ばし、全体の成長率を十五%にするというような戦略を立てている。ちなみに、多くのアメリカ企業が期待を寄せているのは、中国よりもインドだという。
  私だってそう思う。インドに行ったら、「こいつら、いったいどこで止まるんだ」といいたくなるくらい、誰もが全力で走っているし、それを見たら「投資だったら負けるもんか、誰か俺と勝負しろ」という気持ちになる。そしてそういうエネルギーは、ソニー松下電器産業(現:パナソニック)が乗り込んでいった時代のアメリカにはたしかにあった。
  だが、金融津波の影響もあって、次代の新市場のゆくえが混沌としてきたことは、たしかだ。

(P.65-P.66)

132億円集めたビジネスプラン

132億円集めたビジネスプラン

132億円集めたビジネスプラン




「自分が考えるヒト、モノ、カネといった経営資源の制約は、一旦取り払って、『何が世の中に求められえいるか』ということだけを考える。


P.18



飛躍するビジネスアイデアは、多くの場合、自分が経験してきた矛盾や、理想と現実とのギャップから生まれる

P.19



現実と理想のギャップにこそヒントがある
 自分自身が一人のユーザーとして体験している、ちょっとした不便さや、「こうあったらいいのに」という現実と理想とのギャップにこそヒントがある。
 その不便さを取り除くことができたり、理想を実現することができれば、社会に新たな価値が生まれる。

P.34



顧客に対してどの程度の経済的価値を生み出しているのか

P.92


私たちはつい自分がしっている人や頼れる人を軸に考えてしまいがちです。多くの人が、ビジネスは「人脈」がモノを言う世界だと強く思い込んでいる節もあります。確かに人脈は仕事上の大切な役割を担っています。
しかし、アントレプレナーシップの定義から学んだ、その真髄は「経営資源にとらわれず、機会から考える」ということにあります。コネクションがあるか否かはまずは考えず、純粋に一緒に仕事をしたいと思う会社を考え、リストアップしていく、コンタクトを取る方法はそのあとに考えるというように決めたのです。

P.133



「事業が立ちいかなくなったら、どうするのですか?」という質問を各社から投げかけられました。
こういった場合に大切なのは、リスクを丁寧にブレークダウンし、「漠然とした不安」から「ロジカルに整理された論点」に置き換えることです。我々は、「生命保険会社がどういうケースに破たんするか」ということを整理しました。

P.144

以上を説明したうえで、「結局、本事業のリスクは『ネットで保険が本当に売れるのか』という点に行きつきます。この点について私たちは絶対の自信をもっているが、それ以上はなんとも言えません。この点こそが、出資者の皆さんにとっていただくリスクです」

P.144-P.145



そもそも、何を実現できれば自分のキャリアは「成功した」と言えるのか?

P.166

心に響く名経営者の言葉 (3)

心に響く名経営者の言葉

心に響く名経営者の言葉


「どう利益を得ればいいのか、はっきりわかっていませんでした。
でも、運命だ。これに賭けてみようと思ったんです」



ジェリー・ヤンYahoo!の開発者であり最高経営責任者

(P.74)

心に響く名経営者の言葉 (2)

心に響く名経営者の言葉

心に響く名経営者の言葉




「先人の踏(とう)を求めず、求めしものを求む」


  分岐点にさしかかったときに前の人がつけた足跡が右の道へ続いていると、不安や安心感からそれをたどりたくなるものだ。しかし、その足跡が正しい方向へ続いているとは限らない。「左」という信念を持っているなら、足跡に惑わされずに左の道をとるべきだ。


桜田武(元日経連名誉会長。財界四天王の一人)
(P.30-P.31)




「どこかにたどりつきたいと欲するならば、いまいるところには、とどまらないことを決心しなければならない」


J.P.モルガン(モルガン商会を巨大財閥にした人物)
(P.84)

心に響く名経営者の言葉(1)

心に響く名経営者の言葉

心に響く名経営者の言葉




「誰もやったことのない仕事にこそやりがいがある。
世界の何人も成功しなかったような仕事を成し遂げるのが、日本の新事業家の栄ある使命じゃあるまいか」


御木本幸吉 (養殖真珠の創始者
(P.28)



「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。
そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」


小林一三 (阪急電鉄創設者)
(P.52)

成功の瞬間(3)

成功の瞬間 なぜ起業家に運と直感が不可欠なのか

成功の瞬間 なぜ起業家に運と直感が不可欠なのか



  人に何らかの行動を起こさせる動機となりうる代表的なものは、金銭欲、物欲、性欲、承認欲求、安全の欲求などの欲求だ。また、「反発」「裏切り」「悲しみ」「憎しみ」などの負の感情も大きな動機となる(図3−1の左下の「チャレンジャーのステージ」)。もちろん、正の動機として、高尚な「愛」や「理念」「社会貢献」などの自己実現欲求もある(図3−1の右上の「成功者のステージ」)。「好きなことで起業しなさい」というのもその一端だ。
  だが、それら正の動機をもとにして起業する人で、現実に成功している人はほとんどいない。起業志望者のほとんどが、人間成長のステージから見ても明らかに「チャレンジャーのステージ」にあるからだ。愛や理念、社会貢献などの自己実現欲求を動機として起業しなさいという理想論はいちばんよく耳にする。そう話すと美しく聞こえるし、だれも反対意見を述べることはないので話すほうが楽だからだ。
  しかし実際には、それらを動機として事業を興してもなかなか成功しない。なぜなら、彼らが掲げる愛や理念、社会貢献は、「成功者のステージ」にある人が追求していくべき自己実現欲求の話であって、そこにまだ至っていない、低次の欲求すら満たせていない「チャレンジャーのステージ」にある人にとっては表面だけの看板にすぎない場合がほとんどだからだ。
  これはとても単純な話で、「チャレンジャーのステージ」にある人たちには、低次の欲求である数々の「欲望」がまだまだ心の中では渦巻いているからだ。だが、世間からはきれいに見られるような事業の立ち上げ(立派な理念など)してしまったばかりに自分の本心にある欲望を見破られないよう取り繕うために、愛や理念、社会貢献が看板として掲げられて、現実と理想のギャップが生まれてしまっているから、物事が前に進まないのである。

  そもそも、心の底から本心で「愛」や「理念」「社会貢献」を語れる人は、悟りの境地に達した人くらいだ。そういう方は、世の中そんなに数多くいない。ましてこれから事業を始めようという人が、最初からそれらに目覚めているなんていうほうが不自然極まりない。
 起業家として成功する適切なパターンは、図3-1のように、人間誰もが持っている低次の欲求である負のパワーからスタートし、それを牽引力として成長し、適切なタイミングで正のパワーへそれをシフトさせ、最終的に「愛」や「理念経営」と言われている自己実現を追求していく段階へ到達するというパターンである(ここまでいくことなく一生を終える人が大半だが)。だが、何度も見てきたように、それらはあらゆる理由から隠されていく。
  だから事業での成功に必要なのは、まずは現時点で自分白身の最大の行動力となりうる「動機」をとりあえずは活用することだ。もっとも手っ取り早いのが「金銭欲」である。それはほとんどの場合、あまりおおっぴらに人には言えない「負の動機」である。だれかへの「あてつけ」や「見返してやりたい」という発想で起業する人も多い。そして、すでにあなた自身の中に、それは確実に存在する。いつ、あなた自身がそれに気づき、目覚めさせるかだけである。

(P.103-P.105)